街コンに行ってきました

 この間、オタク限定街コンというものに初めて参加しました。

 なんかね、楽しかったです。めちゃくちゃ楽しかった。ほぼ友達の付き添いのような形で、あまり力も入っていなくて。だけど、あれ、こういう空間どこかとても馴染みのある気がするなあと。よくよく考えてみたらインターネットのオフ会でした。

 残念ながら人は全く集まらなかったらしく、男女四人ずつの合計八人、二組。そんな事あるんだ!と初参加の私でさえ驚いてしまった。

 席に着くとテーブルにはプロフィールカードが伏せられていて、思わず「履歴書や!」と一言。就職活動、してないけど。項目は名前から出身地、職業に加えて好きなアニメ、漫画、ゲーム。そこでふと気付いた事なんですけれど、アニメ化がされている漫画原作品等をどちらに置けば良いのか、結構難しくないですか?基本的にはオリジナルの当てはまる部分に書くべきなんでしょうが、「これはアニメが最高だった」みたいなパターンってどうしてもある。考えて、考えて、話題のきっかけ作りの為の羅列なのだから、深く悩むだけ無駄なのだと更に気付く事になったのですが。早速オタクの悪いところ出ちゃった!ちなみに、私の人生で最も好きなアニメはコードギアスです。

 会話の内容をあまり詳細に記録するのはなんとなく嫌だな、という気持ちがあるので割愛しますが、オタク街コン、やはり通常のものよりハードルが高いのでは?と感じました。どう見てもオタクではない人間さえリゼロの視聴を勧めてくる時代です。オタクの基準はどんどん低くなっていくし、前時代的なそれに則ったオタクでさえ好きなものは各々違う。一口にオタクと言っても手札の全く一致しない相手は決して少なくなく、オタクに最も厳しい人種は他のオタクだとさえ思います。

 最大の感想としては、「同じ作品を通った人間を見つける会」のような時間を過ごしました。私は素で少年漫画や美少女コンテンツが好きだし、相手側も案外女性向け作品を学んで来ている人が多い(これに関しては偏見を含みます)。私は「きっとこういう事じゃないんだよなあ!」と思いながらもベラベラと喋り倒しました。だから楽しかった。でもきっとああいう事ではなかった。自分自身のトーク次第で流れは変えられるのですから、周りのせいばかりにはしていられません。というかどう考えても私が一番元気に喋っていたので、私が戦犯かもしれない。もう少し広い範囲での話題があればイベント本来の意味を持ってそこにいられたかな?と思いました。好きな作品の名前が出るとついつい暴走してしまうのは性と言えますね。

 持ち時間の終了後、一人を覗いて全員と連絡を交換しました。全体の人数が少なすぎた為か、スタッフから二次会の案内は無く、解散。私達以外の女性参加者二人は早々に退店したらしく、迷える男性参加者をぞろぞろと引き連れて駅に向かいました。雑談をしながら改札前までやってきて「これからの予定は?」「二人で地元に帰って映画を観に行きます」でおしまい。咄嗟の回避ではなく、本当にアナベルのチケットを取っていました。三人いた男性陣が一対二になって歩いて行くのを見送ったので、きっと彼等は良い友達になるでしょう。私達の奇行を酒の肴に素敵な時間を過ごしてくれ。

 帰りの電車でLINEの友達欄を確認したら、誰が誰だか分からなくて全員まとめてブロックしました。と、思ったらしばらく経ってお礼のメッセージを受信。一連の出来事に全く関係のない知り合いを一人間違えて切ったであろう事に気が付きました。多分特に支障はないので、ブロックリストは確認していません。人付き合いは丁寧に行いましょう。

稲川淳二ミステリーナイトツアー2019に行ってきました

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 参加したのは大阪・森ノ宮ピロティホール公演一日目。これが本当に素晴らしいエンターテインメントでした。タイミングは遅くなってしまいましたが、「初めて」を終わらせてきましたよ。生は良いですね。生は良い。

 というのも七月某日、怪談グランプリ2019の観覧に当選しており、その時点では今回の公演が「二回目」の生稲川淳二となる予定でした。しかし、当日に三十九度の熱が出た為欠席。さすがに立てない。例え立てたとしてアレなんですけども。寝込んでいたショックで実は十五日のオンエアをまだ見ていません。行きたかったなあ。

 

 客層は良くも悪くも大変に幅広かったです。また、私がこれまで経験したどの舞台、ライブよりも開演前の現場スタッフによるスマホ注意が厳重だったような印象があります。(イベントそのもののジャンルが根本的に違う為、だからどうだとは言えませんが)ただ、それでも繰り返し聴こえてしまった着信音は間違いなく没入感を損なわせるもので、多少気が散ってしまいました。一つ、残念な話ですね。

 

 内容に移りましょう。まだツアーの途中ですし、大阪公演だけでも4daysの初日でしたから、基本的にネタバレはしない事にします。一部は含まれますので今後参加する予定の方はご注意ください。

 最大の感想として、あまりにも当たり前の事なのですがめちゃくちゃ話が上手い。

 開場から開演まで、いかにもおどろおどろしい雰囲気を醸し出す和室の舞台セットを眺め続けた三十分弱。イベントが始まって最初に目撃したのは客席に手を振りながら現れたにこやかなおじいちゃん(失礼)でした。戸惑いながらも思わず手を振り返す私。まるでトークショーのゲストを出迎えるよう。けれど、やはり壇上に座するのは稲川淳二ただ一人なのです。

 思い返してみれば、二時間ノンストップの怪談ライブでした。アルバムのトラックのような切れ目さえほぼない。あるとすればお茶を飲むタイミングくらいでしょうか。雑談でさえもよく知った怪談のような調子であって、いつの間にか怖い話に移行しているんです。直前まで笑っていた筈なのに、それが一切尾を引かず、「今から怖がらせにくるんだ」というポーズを取る隙が無く、ただただ話に聴き入っていました。特徴的な語り口はそのまま、けれど不思議な程に自然。なんなら、音響や照明の演出さえ余計なのではないかと感じてしまうくらいに。

 一つ一つは独立した怪談であっても、それらを全て合わせたものが一公演になるのですね。セットリストの重要性は何も音楽ライブに限った事ではないと実感。

 なんだかマジックの技術に似ている気がしました。心霊写真のコーナーではそれが顕著に表れていましたよね。特に興味深かったのは写り込んだ幽霊が動くという話。界隈(?)ではある種常識なのかもしれませんが、「なるほど。この世のものではない存在が写真の枠にとらわれる必要は無いんだ!」と感心してしまいました。そりゃそうだ。そして、最も深く印象に残っているのがツアーのお約束だという水辺から顔を出す男性の紹介ですね。「これを見るのが初めての方はおられますか?」「この話は常連の方が私に毎回させるんです」「段々愛着が湧いてきて、名前を付ける事にしましてね」「もう顔を覚えてしまったでしょう」一般的な心霊コンテンツであればその後撮影者や他の被写体に起こった悲劇を語り、恐怖を煽る形が定石ですが、会場に溢れるのは笑いでした。面白い事は面白いがこの時間はなんだろう、と思いかけたところへ続いたのが、「皆さん帰ってシャワーを浴びられますよね」

 瞬間、反射的に同行者の方へ首を向けると、彼女もこちらを見て苦笑いしていました。頭を流している時の無防備な暗闇。浴槽に張られたお湯。想起されるのは水面から半分だけ覗く男性の顔。

 自称・嗜む程度にホラーコンテンツを愛している私ですが、こういった後に引き摺る怖さとは中々得られるものではありません。単に、水場、また風呂場に現れる幽霊の話を語られただけでは私も平然としていた事でしょう。それがここでは怖かったのです。明らかな話術の勝利。怖い!怖いね!と大はしゃぎし、私はシャワーを朝に回す事を決めました。

 コーナーが終わり、後半戦が始まるのかと思えばやってきたのは退場の時間です。ライブのような、舞台のようなクライマックス感は無く、いつの間にか過ぎ去っていた二時間でした。繰り返し訪れている方からしてみると、心霊写真の紹介こそがそういった感覚なのかもしれませんが。

 たった一人の話を聴く為の二時間がこうもあっという間だとは、進んでチケットを確保をした自分自身でさえも予想していませんでした。ホラーが好きならば人生で一度は経験しておきたい。そんな気持ちで参加した公演でしたが、気づけば既に冬のツアーを楽しみに待っています。稲川淳二先生は偉大ですね。実に貴重な体験でした。

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はやみねかおる先生のサイン会に行ってきました

 こんにちは。すっかり夏ですね。私は人生で初めての「食欲が無い」を味わっています。人生で初めて、何よりもそれがすごくない?

 

 

 この話をします。

 

 偉大なはやみねかおる先生(以下はやみね先生)。私ははやみね先生の著書で「人が死ななくてもミステリーは成立するんだ!」という事を学んだものです。そして私の「トンチキ長髪美形萌え」の一端を担う怪盗クイーン。対象年齢時代にこのクイーンが性別不詳である事、また石崎洋司先生による黒魔女さんが通る!!のギュービッドさまが女性である事をすんなりと受け入れられていた人間程、今現在性癖を拗らせている印象があります(大偏見)。

 

 八月十一日。会場となった書店には…いつ頃向かったんだろう…(?)余談ですが、私は遅刻癖の真逆を行く待ち合わせ下手。所要時間の逆算が出来ないのです。全く。

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 到着した時点で店内には既に長机とイベント用掲示の準備が(撮影許可済)。まさにこれを「撮っていいですか?」と伺う為の予備動作として周辺を行ったり来たりと、オタク特有の不審な挙動を見せつけていたところで店内を横切り何処かへ誘導されるはやみね先生を目撃しました。咄嗟に声が出ない!心臓が止まる!振り返ってみればきっと正しいのですが、本当にただただ目で追う事しか出来ませんでした。

 普段以上に落ち着かぬ心のまま店内を巡っているうちに集合時間に。私の整理番号は一桁でした。これもまた私のせっかちの境地と言える性質が成した結果なのですが、その話は割愛しましょう。

 待機列では簡単なルール説明と、はやみね先生宛のメッセージカードが配布されました。そして驚いたのがその真横で特設の陳列棚に平積みされていくアナミナティの祝祭・後編。これがまたサイン本だったのです。そんな話ある?はやみね先生に直接頂くサインとは違い「本人の名前が入らない」という点はありましたが、それにしたところで大変なサービス。ありがとうはやみね神。ありがとう紀伊国屋書店グランフロント大阪店。

 我々ファンとイベントを担当されていた店員方の拍手に包まれてはやみね先生が登場されました。私物でしょうか。携帯用の扇風機を、先生本人ではなくこちらに向けて机上に置かれた事が強く印象に残っています。

 そして、心の準備とは大抵整わないものですね。イベントが始まればすぐに私の順番は回ってきました。ツーショットNGのルールが多少変更され、係員の方にスマートフォン等を預けた撮影が可能に。私はUlikeを起動。ちゃっかり盛ろうとするな。この時私は比喩抜きで口から臓器の飛び出そうな程に緊張していたのですが、大好きな作家先生にそんな感情の昂ぶりと日頃の感謝を伝えたくて仕方がない気持ちは十分にありました。臓器の代わりに飛び出した言葉がこうです。

「令和一緊張しています」

「まだ始まって三ヶ月程度ですがね!」と即座に模範解答的すぎるレスポンスを与えてくれる優しさ。この瞬間、私は尊敬する作家先生にツッコミをさせた人間としての罪を背負っていく覚悟を決めました。他には小学生の頃から著書を拝読していて、今年度で大学を卒業する事。はやみね先生御本人のファンであるのは勿論、作品の中でも怪盗クイーンを特別に感じている事。社会人になっても変わらず宜しくお願いします。どうかお身体にはお気をつけ下さい。言いたかった事は心残り無く言えたのではないかと思います。

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 本を受け取る際には握手までして下さいました。というよりも、はやみね先生の方から手を差し出して頂いて、私がそれに応じた形です。何から何まで恐れ多く、決して長くはない時間の中で沢山の温かさを貰ってしまいました。

 スマートフォンを預かって頂いたスタッフの方の撮影写真が一枚でなかった事にも驚きました。上記の握手の瞬間も狙って収めて下さったのでしょう。この場で言っても意味はないのですが、本当にありがとうございました。

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 特にイベント風景を眺める事はせず、後編のサイン本購入後は早々に離脱。

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 店内展示用のサイン色紙も設置してありました。

 

 私個人の意見として、クリエイターの人間性、つまり「中身」に目を向ける事そのものがナンセンスなのでは?と思う事があります。しかし、現金な話かもしれませんが、この日初めてはやみね先生の人柄(の一部)に直接触れ、「ずっと好きでいて良かった」と改めて感じられた事は紛れも無い事実です。作品が好き!そして好きな作品を書いている人も好き!ただそれに気が付くタイミングがサイン会だった、という、単純な話なんですがね。

 こうして何かを長文に残したくなるイベントは実に久々でした。何歳になっても嬉しいものは嬉しいですね。人生観の都合上、「子供が出来たら」等は口が裂けても言えませんが、私自身がいつまでもはやみね先生の、怪盗クイーンのファンでいられたらと願います。


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人生に大切なのはC調と遊び心!